本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.11.14

2024年を振り返って

2024年も、間もなく、終わりの時期を迎えようとしているが、「今年の金融市場」を振り返ると、「金融のメルトダウンが着実に進展した年」であり、実際には、「金融の逆ピラミッドにおいて、株式や貴金属へと世界の資金が流れた状況」だったようにも感じている。つまり、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」の前後で完成し、「デリバティブのバブル」と「大量のデジタル通貨」で特徴付けられる「金融の逆ピラミッド」については、その後、「大地震後に発生した海上の津波」のように、徐々に、「何でもバブル」を発生させてきた状況だったことも理解できるのである。

具体的には、「量的緩和(QE)」の実施により、最初に、「世界の債券」がバブル状態となったものの、その後、「2020年の3月前後から、債券価格の下落(金利は上昇)が始まった展開」だったことも見て取れるのである。そして、その後のバブルとしては、「世界的な不動産バブルの発生と崩壊」が見て取れるが、結果としては、「米国の商業用不動産」に代表されるように、きわめて悲惨な状態に陥ったことが指摘されているのである。

そして、このような「何でもバブルの発生と崩壊」については、「大量に創られたデジタル通貨が、時間をかけて、メルトダウンを引き起こした展開」とも言えるが、今年の特徴としては、「大量のデジタル通貨が世界の株式市場に対して、バブルの発生と崩壊を引き起こしている状況」とも想定されるのである。具体的には、「米国のマグニフィセント7」と呼ばれる少数の銘柄群に、世界の資金が集中した状況のことだが、同時に発生した現象は、「金(ゴールド)価格の急騰」だったことも理解できるのである。

つまり、2024年に発生した劇的な変化としては、それまでの「デジタル通貨とコンピューターネットワークで形成された金融界のブラックホール」とでも呼ぶべき環境から、徐々に、世界の資金が「実物資産」へと流れ始めた状況が指摘できるのである。別の言葉では、「金融界のホーキング放射」とも言える展開のことでもあるが、実際には、「金融界のブラックホールから大量の資金が流れ始めた状況」であり、また、このことは、「自然界の大津波が、陸上を襲い始めた状態」のようにも感じられるのである。

そのために、これから予想される変化としては、「大量の資金が、最終的に、紙幣の形で市場に流れ始める展開」でもあるが、このことは、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」の崩壊を意味するとともに、「人類史上、未曽有の規模での大インフレの発生」を予想させる動きのようにも感じている。