本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2024.11.21

世界的な流動性の枯渇

現在、世界的に危惧され始めたこととして、「流動性の枯渇」が挙げられるが、このことは、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約300兆ドルの世界債務残高」に関して、「債務の借り換え」が難しくなる可能性のことである。別の言葉では、「2022年3月から2023年7月にかけて米国で実施された、0.25%から5.5%への政策金利上昇」により、すでに、「いろいろな分野で金利負担が急増し、かつ、借り換えが難しくなっている状況」とも理解できるのである。

より詳しく申し上げると、「10月22日のIMFの警告」のとおりに、「信用リスクの外部移転手段として金融機関が用いるシグニフィカント・リスク・トランスファー(SRT)取引に関して、不透明な取引で金融安定のリスクが増大しかねない状況」のことである。つまり、今までは、「さまざまな手段を用いながら、金融システムの崩壊を防いできた状態」だったものが、現在では、「世界のいろいろな所で流動性の枯渇が発生した状況」のようにも感じられるのである。

そのために、今後の注意点としては、「民間部門」のみならず、「公的部門」においても、「貸し手の不在による資金的な行き詰まり」、あるいは、「高金利の負担による赤字決算や債務超過に陥る可能性」などが危惧される段階に入ったものと想定されるのである。つまり、現在では、「1980年代初頭から継続した約40年間の金利低下の時代」が終了し、すでに「金利上昇に伴う多額の金利負担が発生する時代」に入ったことも見て取れるのである。

その結果として、これから予想される事態は、「個人や企業のみならず、民間金融機関における倒産」であり、また、「中央銀行や国家の資金的な行き詰まり」とも考えられるが、実際には、「日銀」に代表されるように、「民間部門からの資金借り入れが難しくなり、財政ファイナンスが実施され始める可能性」のようにも感じている。つまり、「国債の買い手」が減少した結果として、「国債の入札」が難しくなる可能性のことでもあるが、この点については、「1991年のソ連」が参考になるものと考えている。

具体的には、最初に、「長期国債の販売」が難しくなり、その後に、「短期国債の販売」も困難となった展開のことだが、その結果として発生した現象は、「ルーブルの暴落」でもあった。そして、当時の思い出としては、「故米永将棋名人」による「ルーブルで金(ゴ-ルド)を買っていたら、ロシア人は大儲けできていた」という言葉があるが、現時点では、「日本人にも、この言葉が当てはまるのではないか?」とも感じている。