
本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.12.23
軍事力と資金力による支配
50年以上もの長期間に及んだ「シリアの恐怖政治」については、実情を知れば知るほど、「独裁者の残忍さ」を思い知らされる状況であったが、一方で、「過去の独裁者と同様の末路」についても、改めて、歴史の教訓が繰り返されたものと感じている。つまり、「どれほどの恐怖政治が行われようとも、最後には、必ず、国民の力が勝る展開」のことでもあるが、この点に関して気になるのは、やはり、「北朝鮮と中国の今後」である。
具体的には、「1953年以降の北朝鮮で、70年以上もの長きにわたり、金一族による世襲政治が継続している状況」、そして、「1949年以降の中国でも、同様に、共産党の一党支配が継続している状況」のことである。別の言葉では、「シリアと同様に、軍事力を背景にした恐怖政治が継続している状態」とも思われるが、今後の注目点は、「いつ、北朝鮮や中国の国民が、政府に対する反旗を翻すのか?」だと考えている。
しかし、一方で、決して見逃してはいけない事実としては、「資金力による支配」が挙げられるものと感じているが、このことは、「水茹での蛙」といわれるように、「西洋先進諸国の人々が、気付かないうちに、いつのまにか、資金の力に支配されていた状況」である。つまり、「インフレ税による通貨価値の下落」が発生し、「時間の経過とともに、自分の資産が目減りしていた状況」のことだが、この点については、「軍事力による恐怖政治」とは違い、「百万人に一人も気付かないうちに発生する事態」とも理解されているのである。
このように、今までは、東側の共産諸国で「軍事力による支配」、そして、西側の資本主義諸国で「資金力による支配」が実施されていたものの、現在では、「国民の生活」に問題点が出始めるとともに、「国民の不満」が高まっている状況とも理解できるのである。つまり、今回の「シリア」と同様に、「北朝鮮や中国」においても、「独裁者」が排除され、「国民の自由度」が増す展開が想定されるが、注目すべき点は、やはり、「西洋諸国の人々が、いまだに、資金力による支配の実態に気付いていない事実」とも言えるようである。
より詳しく申し上げると、「1991年のソ連」のような状態が、間もなく、「東側諸国のみならず、西側諸国でも発生する可能性」が高まっているものと思われるが、実際には、ほとんどの人々が、依然として、「裸の王様」の状態である「デジタル通貨」に頼り切っている状況とも言えるのである。つまり、人類史上、初めて、通貨となった「数字」に対して、全世界の人々が信頼感を置いている状況でもあるが、今後の注意点としては、やはり、「王様は裸だ」と叫ぶ子供の存在が指摘できるものと感じている。