本間宗究(本間裕)のコラム

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2025.1.13

明日は我が身の中国経済

現在の中国経済については、「数年ほど前の繁栄」が信じられないほどの落ち込みを見せている状況ともいわれているが、この理由としては、やはり、「習近平の失策」が挙げられるものと考えている。具体的には、「マルクス主義的中華思想」という考えのもとに、「資本主義崩壊後に、中国および中国共産党が世界の覇権国家の指導者になる目標」を掲げ、戦狼外交などを行ってきた状況のことである。

しかし、実際には、「外国資本の逃避」や「国内経済の落ち込み」、そして、「国民からの信用喪失」などにより、「人類史上、まれにみるほどのスピードで、経済的な衰退と国家の没落が発生している状況」ともいえるのである。別の言葉では、「海外からの資金流入で急成長した中国経済が、過去数年間のうちに、急速な資金的枯渇に見舞われるとともに、民族大移動の後半部分に移行した可能性」のことである。

つまり、「西暦376年から476年にかけて発生した西ローマ帝国の民族大異動」については、前半部分が「大都市への人口移動」であり、この時には、「巨大な大都市が形成され、マネーの大膨張が発生した状況」だったものの、後半部分は、反対に、「大都市での生活が難しくなり、人々は、地方や海外へと移住し始めた展開」だったことも見て取れるのである。そのために、私自身としては、「現在の中国が、民族大移動の後半を象徴している可能性」に注目してきたが、現時点では、「この動きが、他国に波及する可能性」にも注視し始めた状況ともいえるのである。

より詳しく申し上げると、ケインズなどが指摘したとおりに、「通貨の堕落」や「資金的な枯渇」により「経済を崩壊させる力が働く状況」のことであり、現在の中国は、まさに、この典型例となっているようにも思われるのである。しかも、先進諸国についても、現在、同様の力が働き始めている可能性も想定されるために、今後の注目点は、「大量に存在するマネーが、これから、どのような商品の価格を暴騰させるのか?」だと感じている。

具体的には、「2008年前後のGFC(金融大混乱)」という「金融の大地震」が引き起こした「世界的なインフレの大津波」が、「2020年前後に債券のバブル崩壊」、そして、その数年後に「不動産バブルの崩壊」を発生させた状況を理解することである。つまり、現在では、「世界的な株式のバブルを崩壊させながら、実物資産価格の暴騰を引き起こそうとしている段階」とも想定されるために、今後の注目点は、「先進諸国においても、現在の中国と同様に、大都会での生活が苦しくなる可能性」とも思われるのである。