本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2025.1.16

人類史上最大のバブル

1600年代初頭に「オランダのチューリップ」から始まった「人類社会のバブル相場」については、その後、「南海泡沫事件」などを経て、「20世紀から21世紀における本格的なバブルの時代」に移行したものと考えている。具体的には、「1970年代の貴金属」、「1980年代の日本の株と土地」、そして、その後の「1990年代のハイテク株」や「2000年代のデリバティブ」などのことである。

そして、「日本のバブル相場」が終了した「1990年前後」の思い出としては、「日本を売れば、日本以外の南極までも含めた全世界の土地が買える」といわれた「約2500兆円の土地バブルが人類史上最大のものではないか?」ということがあった。つまり、バブル崩壊後の衝撃が、きわめて大きかったわけだが、実際の展開としては、「その後に約30倍の規模でデリバティブのバブルが発生した」という状況だったのである。

より詳しく申し上げると、「日本の土地と株式のバブル」については、「民間金融機関のバランスシート大膨張」により創り出された資金が「土地と株式の価格上昇に貢献した」という状況だったが、その後の「世界的なデリバティブのバブル」については、「世界各国の民間金融機関がオフバランスで残高を膨張させた」という状況だったのである。別の言葉では、特定の資産価格がバブル的な状態になるのではなく、通貨そのものがバブルを形成した状況だったようにも思われるのである。

別の言葉では、「村山節(みさお)の文明法則史学」が指摘する「西暦1200年から2000年までの西洋の時代」を象徴するのが、「1971年のニクソンショックから始まった世界的なバブル相場」だったようにも感じられるのである。そのために、現時点での感想としては、「人類史上最大のバブルは、デリバティブではなく、通貨そのものだったのではないか?」ということでもあるが、この点については、やはり、「1600年前の西ローマ帝国」が同様の状態だったものと考えている。

具体的には、「西暦400年前後に、通貨の発行量が最大化したものの、通貨の質が最も悪くなった状況」のことであり、その結果として発生した現象が、「財政破綻とインフレ」だったことも見て取れるのである。そして、このことが「東西文明交代の原因の一つ」だったものと思われるために、今後の注目点は、「世界各国の財政ファイナンスが、今後、どのような形で実施されるのか?」であり、また、「その時に、どれほどのスピードで紙幣の増刷やインフレが進展するのか?」だと感じている。