
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.2.3
トランプ関税の経済効果
米国のトランプ大統領は、2月1日に、「トランプ関税の大統領令」に署名したが、この行為に関する経済効果については、「三次元の実体経済」よりも「四次元のマネー」の方が、より説明可能な状況のようにも感じている。つまり、「今後、世界経済に対して、どのような影響が出るのか?」を考えると、「実体経済」の観点からは、「さまざまな商品の価格や販売数量などに関して、いろいろな影響が出るとともに、具体的な統計数字が出るまでに数か月間が必要とされる状況」とも理解できるのである。
しかし、一方で、「マネー」の観点から判断できることは、「金融界の大地震」ともいえる「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」が発生させた「世界的なインフレの大津波」が、今回の「トランプ関税」により、「世界の株式から実物資産へと移行を始める展開」とも認識できるのである。つまり、今までに発生した「何でもバブル」、すなわち、「デジタル通貨の海において、最初に債券バブル、そして、その後に不動産バブル、そして、現在では、米国を中心とした株式のバブルの発生と崩壊」という展開に関して、今後は、「大量の資金が、貴金属や原油、そして、食料品などへの実物資産に殺到し、価格が急騰する展開」も想定されるのである。
別の言葉では、「現代版グレシャムの法則」、すなわち、「これから値下がりすると思われる商品は手放し、これから値上がりすると思われる商品を手元に置く行為」が働くことにより、今後は、「無制限に膨張可能な金融商品」から「生産量に限界が存在する実物商品」へと、世界の資金が移動するものと思われるのである。より具体的には、「世界的なハイパーインフレが発生する可能性」のことでもあるが、実際には、「数量が限られている実物商品の奪い合いが、世界的に発生する展開」のことである。
そのために、今後の注意点として指摘できることは、「大量に創造されたデジタル通貨の恩恵により発展したアメリカの変化」であり、実際には、「デリバティブのバブル崩壊により、ほぼ瞬間的に、デジタル通貨が枯渇する事態」とも想定されるのである。別の言葉では、「さまざまな商品価格の高騰により、世界的な換物運動が発生する可能性」のことであり、また、その結果として予想される現象は、「共同体のさらなる分裂と崩壊により、商品の奪い合いが発生する可能性」のようにも感じている。つまり、「世界的な金融システムが崩壊し、未曽有の規模での大インフレが発生する可能性」のことでもあるが、この点については、やはり、「1600年前に発生した西ローマ帝国の崩壊」が、最も参考になる具体例とも言えるようである。