ストックマーケットレポート・サンプル 2016.4.20号

* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。

1:ファンダメンタル

今回は、「3月30日」に「財務省」が発表した「日本の財務書類」、「4月5日」に「日銀」から発表された「資金循環の日米欧比較」、そして、「4月10日」の「IMFレポート」を説明させていただきながら、「お金の本質」についての「より深い考察」を行ってみたいと思います。そして、この時に重要な点は、「現状を、具体的な数字で把握する」、また、「数十年、数百年単位で、過去の推移を考える」ということであり、この結果として、現在の「大膨張したマネー経済」が、「如何に異常な事態なのか?」が、はっきりと見えてくるものと感じている次第です。

また、この方法により、「金融の逆ピラミッド」、あるいは、「金融システム」の実情も、より詳しく理解していただけるものと考えていますが、最初の「日本の財務書類」につきましては、部分的に抜粋した表を添付させていただきます。具体的には、「一般会計」と「特別会計」を合計した「連結貸借対照表」のことですが、この表から理解できることは、「平成26年度末」で、「資産合計」が「約932兆円」、「負債合計」が「約1371兆円」というように、「日本の国家財政」が「約439兆円の債務超過の状態に陥っている事実」でもあるわけです。

しかも、この他に、「地方財政の債務残高」が「約196兆円」も存在するために、「日本の国家・地方財政」は、「民間企業だったら、とっくに破綻している状態」とも考えられるわけです。また、「平成25年度末」と比較しますと、「債務超過の金額が、約11.6兆円の減少」となっていますが、この点につきましては、「現金や預金の残高が、約23.7兆円の増加」、そして、「有価証券の残高が、約39.2兆円の増加」、というように、基本的には、「株高の恩恵を被った結果」とも言えるようです。

このように、現在の「日本の国家財政」は、実質的な「破たん状態」となっているようですが、実際には、このような状況下でも、「世界で、最も低金利の状態」が実現しているわけです。つまり、本来は、「財政が安定し、強い国際競争力を持つ国」が、「低金利と強い為替の恩恵」を享受できるわけですが、実際には、ご存じのとおりに、「債務超過となっている日本」が、「国債のマイナス金利」により、「借金をすると、金利が貰える状況」となっているわけです。

つまり、「実質上、破綻している国家が、金利を貰いながら、お金を借りている状況」のことですが、このことが、現時点で、最大の「市場の歪み」とも考えられるわけです。別の言葉では、「バブル」の時に発生する事態が、「木の葉が沈んで、石が浮く」という言葉に象徴されるように、「人智では考えられないような、きわめて理不尽な事態」でもありますが、現在の「日本国債」につきましては、この典型例とも言えるわけです。