ストックマーケットレポート・サンプル 2016.5.20号

* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。

1:ファンダメンタル

「ゴールデンウィーク」の期間中は「参加者不在の大荒れ相場」となり、また、「5月6日」に発表された「米国の雇用統計」につきましては、「予想よりも悪かった」という結果により、「日本」では、再度、「経済に対する悲観論」が強くなっているようです。具体的には、「景気が悪いから、株価は下がり、デフレ状態が加速する」というような意見のことですが、私自身の感想としましては、「いまだに、このような議論が継続しているのか?」と呆れた次第です。そして、この理由としましては、「過去10年間」、あるいは、「その前」から、「経済統計の数字は信用できない」という認識を持ち続けてきたからです。

つまり、「実体経済に関する統計数字」は、「短期的」には影響があったとしても、「中期、あるいは、長期的」には、「マネー経済に関する統計数字の方が、相場に対して、はるかに大きな影響を及ぼした」とも考えているわけです。別の言葉では、「実体経済の統計数字」については、「定義の変更」などにより、「政府に都合の良いように、数字が変更されることが多い」というのが、私自身の経験則でもあるわけです。そのために、「雇用統計の数字」などに一喜一憂して、「投資の方針を変更する」ということは、決してお勧めできない投資手法であるとも考えているわけです。

また、「米国の雇用統計数字などが、なぜ、信用できないのか?」につきましては、以前から、「アメリカ」でも、頻繁に議論されていたことでしたが、実際には、「米国の経済運営に従事していた元財務副長官」である「ポール・クレイグ・ロバーツ博士」が、次のようなコメントをしているわけです。具体的には、「失業率」に関する定義を述べながら、「アメリカの実情」を説明していますが、実際には、下記のグラフのとおりに、今回の「5%の失業率」が、「どれほど信用できない統計数字なのか?」を述べているわけです。

「失業を測る尺度である失業率は、労働力人口に対する失業者数の割合で定義される。一般に失業率という場合、完全失業率を指す[33]。失業者とは「働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態にある人」を指すので、仕事探しをあきらめた人(自発的失業者)は失業者には含まれない。なお、仕事探しをあきらめた人は就業意欲喪失者(discouraged worker)と呼ぶ。ちなみに、労働力調査では、働く意志があるとは、ハローワークに通って職探しをするなど仕事を探す努力や事業開始の準備をしていること、とされている。」(出典:ウィキペディア)

つまり、「自発的失業者」を考慮すると、しかも、この時に、「短期的」、更に、「長期的」な観点から勘案すると、「アメリカの失業率」に関する統計数字は、次のような状況になっていると、「ロバーツ博士」は考えているわけです。具体的には、「政府が発表した数字」は、ご存じのとおりに、「5%の失業率」でしたが、この時に、「短期の自発的失業者」を含むと、「約10%」にまで増え、また、「長期の自発的失業者」までも含めると、「失業率は、約23%にまで増える」というものです。