ストックマーケットレポート・サンプル 2016.6.20号
* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。
1:ファンダメンタル
この10日間は、「舛添都知事の問題」で、マスコミが大騒ぎの状況となっていますが、実は、この事件も、「市場経済」から「共同体」への移行を「象徴する出来事」とも言えるようです。つまり、「不適切だが、違法ではない」というコメントを聞いて、最初に浮かんだ言葉は、「老子18章」にある「知恵出でて、大偽あり」でしたが、実際には、「舛添都知事が、自分の身を守るために、優秀な頭脳を駆使している可能性」があり、一方で、「人知の限界」を示しながら、「嘘の上塗り状態」となっているようにも感じられたわけです。
ただし、「疑惑の解明」につきましては、これからの問題ですので、現時点では、断定的な判断を避けたいと思いますが、「老子18章」につきましては、次のとおりに、現在の世の中を、的確に言い表している言葉のようにも感じたわけです。
『大道廃(すた)れて、仁義有り。智恵出でて、大偽(たいぎ)有り。六親(りくしん)和せずして、孝慈(こうじ)有り。国家昏乱(こんらん)して、忠臣有り。』
つまり、「大道」という、「人間や社会のあるべき姿」が失われたときに、「仁義」という言葉が使われるようになり、また、人々が争っているときに、「孝行」や「慈愛」が重要視されるということです。そして、このような「国家の混乱状態」に陥った時に、本当の「忠臣」が現れるものと思われますが、実際のところ、この言葉は、「理想的な社会」において、「仁義」や「孝慈」、そして、「忠臣」は、当たり前の状態であり、あえて、強調されるような言葉ではないということを意味しているわけです。
別の言葉では、現在、「絆」や「思いやり」という言葉が、盛んに、マスコミで使われていますが、このことは、「現代社会で、『絆』や『思いやり』が失われている状況」を表しているようにも感じられるわけです。つまり、「珍しいために、あえて強調されるのではないか?」ということですが、この点につきましては、以前に、「堺屋太一氏」が、「忠臣蔵は、江戸時代において珍しい出来事であり、希少性があったために、長く後世に伝えられた」ともコメントされているわけです。
このように、現在では、「舛添都知事」のように、「法律」に触れない限り、「どのような方法を用いても、自分の資産を増やすことが重要だ」と考える人が多くなっており、この点につきましては、最近の「パナマ文書」の問題からも、明らかな状況とも言えるようです。別の言葉では、「マネーの大膨張」が限界点に達したために、過去数年間、「お金の奪い合い」が、いろいろな分野で発生していたようですが、この結果として発生したのが、「格差社会」であり、また、「人々の不満」とも考えられるわけです。