ストックマーケットレポート・サンプル 2016.10.10号

* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。

1:ファンダメンタル

今回は、「日銀」が「9月21日」に発表した、「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」や「オーバーシュート型コミットメント」に関しまして、「黒田総裁が、どのように説明しているのか?」、また、「日銀は、今後、どのような出口戦略を想定しているのか?」を考えてみたいと思います。別の言葉では、「9月26日」に行われた「大阪経済4団体共済懇談会」での「黒田総裁のコメント」を検証しますと、「ほとんどの部分は、今までの政策に関する自画自賛」でありながら、「最後の部分」で、少しだけ「ホンネ」が見えたようにも感じられたわけです。

より具体的には、「今回、金融政策の変更が行われた理由」としまして、実際には、「今後、新たな局面に移行するために、巧妙な抜け道が用意されたのではないか?」とも感じたわけです。つまり、「金融の護送船団方式」につきましては、実際のところ、「内部分裂」ではなく、「全体が、大きく舵を切った可能性」があるようにも思われましたが、この点を理解するためには、「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」につきまして、詳しく検討する必要があるものと考えている次第です。

つまり、「イールドカーブ・コントロール」というのは、「黒田総裁」の説明によりますと、「10年国債金利を、ゼロ%前後に誘導する」、そして、「短期金利は-0.1%に据え置く」というものです。そして、この時に、「約80兆円の国債買い入れ」については、「基本的に継続する」とも述べられていますが、今回の重要なポイントは、この「オーバーシュート型コミットメント」にあるようにも感じたわけです。具体的には、「物価上昇の実績値が2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大を持続する」という「約束」のことですが、実際には、この点に、巧妙な「抜け道」が隠されているようにも思われたわけです。

具体的には、「マネタリーベース(約410兆円)」の要因として、現在では、主に「日銀の当座預金(約300兆円)」と「日銀券(約96兆円)」が存在するわけですが、ご存知のとおりに、今までは、「日銀の当座預金」を大膨張させることにより、「基になる資金(マネタリーベース)」の拡大が継続可能だったわけです。しかし、現在では、「マイナス金利の実現」により、「金融庁」が反旗を翻すとともに、結果として、「当座預金の増加」が難しくなっているようにも思われるわけです。

つまり、「金融庁」は、「現預金から実物資産への移行」を推進し始めたわけですが、実は、この点に、「抜け道」、あるいは、「秘密」が存在するようにも思われるわけです。具体的には、今後の「マネタリーベースの増加」については、「当座預金」ではなく、「日銀券」が主な要因となる可能性のことですが、このことは、本格的な「インフレ」を発生させることにより、「国家債務の削減」を目論んでいる可能性のことになります。そして、この点に注目しながら、「黒田総裁のコメント」を読み直しますと、やはり、実に巧妙な言い回しが行われているようにも感じられるわけです。