ストックマーケットレポート・サンプル 2017.1.20号
* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。
1:ファンダメンタル
現在、市場の関心事は、「トランプ大統領の就任後、世界経済は、どのようなことになるのか?」という点に集中しているようです。具体的には、「トランプ次期大統領」が、「トヨタ」に対して、ツイッターで、「ありえないことだ! 米国に工場を造れ。さもなければ、高い関税を払え」とコメントした件に関して、ご存知のとおりに、「マスコミ」が大騒ぎしている状況でもありますが、この点につきましては、二重の意味で、大きな注意が必要なようにも感じている次第です。
つまり、最初の注目点として、「トランプ氏」が、「1月20日の大統領就任後に、態度を軟化させる可能性」であり、実際のところ、「米国の経済政策や金融政策」につきましては、「トランプ氏の考えが、単純に採用される可能性が低いのではないか?」とも想定されるわけです。別の言葉では、「上下院議会」の存在により、さまざまな反論が出るものと想定されますが、特に、「世界の覇権国」である「アメリカ」にとりましては、「政策の継続性」が、最も重要な点とも思われるわけです。
また、二つ目の、より大きな理由としましては、「グローバリズム(地球主義)」と「ローカリズム(地域主義)」に関して、大きな「市場の誤解」が存在する可能性が指摘できるようです。具体的には、「米国内で工場を建設すべきである」というような意見は、「1980年代」から、盛んに議論されていた点であり、現在では、「時代錯誤の意見」とも思われるわけです。そして、このことを理解するためには、「グローバリズムの正体」を、より深く認識する必要性があるわけですが、実際には、「実体経済」と「マネー経済」とを、分けて考える必要性のことになります。
つまり、「米国の実体経済」につきましては、前述のとおりに、「1980年代」から、実質上の「保護貿易政策」、すなわち、「ローカリズム」を実施してきたものと考えていますが、実際には、「1985年のプラザ合意」が、その典型例だったものと思われるわけです。そして、このことは、「為替の切り下げ」により「米国産業の競争力を高めようとした金融政策」でもありましたが、この点につきましては、前述のとおりに、それ以前から、「トヨタ」や「ホンダ」などに対して、「米国政府」は、「米国での工場建設」を要請してきた状況でもあったわけです。
しかし、実際には、「一部の例外を除いて、米国産業の競争力は、全体として低下傾向を続けてきた」という展開でもあったわけです。つまり、「米国の実体経済」におきましては、「グローバリズム」よりも「ローカリズム」、あるいは、「保護貿易主義」と呼ぶべき政策が、すでに「中心的な考え」となっているようですが、現在では、この点に関する認識が、きわめて曖昧な状況のようにも感じられるわけです。具体的には、「どのような国も、競争力のある商品は、海外市場で販売しようとする努力」、すなわち、「グローバリズムの推進」を計るわけであり、また、この時には、「障害となる関税障壁など、国境の違いを克服しようとする動きが起こる」という理解のことです。