ストックマーケットレポート・サンプル 2017.7.10号
* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。
1:ファンダメンタル
今回は、「6月25日」に開催された「BISの年次総会」につきまして、「年次報告書」の内容を紹介させていただきますが、「国際決済銀行(BIS)」につきましては、「中央銀行の中央銀行」とも呼ばれているように、「世界の金融機関」に関する全ての統計資料が集まるとともに、「金融面での知見」につきましても、現時点では、世界最高水準に位置しているものと考えています。また、「総支配人(GM)のカルアナ氏」につきましては、私自身も、数年前から、「金融界で数少ない、正当な意見を述べる人物ではないか?」とも感じています。
ただし、この時の注意点としましては、「カルアナ氏」が、「権力側に位置する機関」に属しているために、「どれほどホンネの意見が述べられるのか?」、また、「経済学の未熟さにより、どれほど、経済や金融の真理に近付いているのか?」という点でもあるようです。そして、これらの点を差し引きましても、私自身としましては、「BIS」が「権力」に阿(おもね)ることなく、きわめて「的確、かつ、冷静な態度」を保持しているものと考えていますが、「カルアナ総支配人」は、今回も、昨年に続き、きわめて興味深い意見を述べられています。
具体的には、「Looking beyond the here and now(今、ここから始まる未来)」という言葉のことですが、昨年も、「The future becomes today(危惧していた将来が現実になる日)」というように、たいへん訳しにくい、意味深な言葉を使われていました。そして、このことは、「昨年の6月」から「今年の6月」までの「一年間」に、「世界的な経済情勢が様変わりの状態となった」、そして、「グローバリズムに関する認識転換が、世界的に起こるとともに、批判も出てきた」という点を指摘しているわけです。
つまり、「過去一年間に、世界経済が、極めて順調な回復力を見せた」という点に、ある種の「驚き」を見せながら、同時に、「今後、インフレが炎上する危険性」も指摘していますが、結論としましては、「グローバル化が更に進展すれば」という仮定条件付きで、「従来のような極端なインフレは発生しないのではないか?」という考えに至ったようです。しかし、この意見は、実際のところ、「BISの総支配人」としての「タテマエ」であり、「ホンネ」は別にあるようにも感じられた次第です。
また、実際には、「7月中にも結論が出るのではないか?」とも想定していますので、この点も考慮しながら、「年次報告書」について、詳しく説明させていただきます。つまり、今回の報告書では、「グローバル化の経済学」に重点を置きながら、「長期的な観点からの未来予測」や「現代社会を動かす原動力」、あるいは、「グローバル経済の弱点や強み」の分析も行っています。そして、現在の「経済のグローバル化」につきましては、実際のところ、「第二の波動」であり、また、「第一の波動」よりも大きな規模であるとも説明されています。