ストックマーケットレポート・サンプル 2017.8.20号

* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。

1:ファンダメンタル

「8月1日の日経新聞」で紹介されましたように、現在では、「高額紙幣は廃止すべきである」という主張が「世界的な論争」となっているようです。具体的には、「ハーバード大学のロゴフ教授」の意見として、「高額紙幣を廃止すれば、脱税やマネーロンダリングなどの犯罪が防げるだけではなく、次なる経済危機に備えることが可能だ」、しかも、現在、「中央銀行」が陥っている「ゼロ金利の制約」という「これ以上、金利を下げることができない状態」に対しても有効であるという理解のことです。

つまり、「高額紙幣を廃止し、預金者にマイナス金利を課す方法」が、今後の「金融政策」として提案されていますが、この理由としましては、「預金者が現金を引き出して、手元に保有すれば、技術面において、マイナス金利を課すことができない」という点が指摘されているわけです。つまり、「現金を廃止して、マネーを電子化すれば、4%程度のマイナス金利を課すことが可能である」、しかも、「その先駆者となれるのは、あらゆる金融政策を試みてきた日本である」という理解のことです。

また、「ユーロ圏」だけではなく、「カナダ」や「スウェーデン」、そして、「シンガポール」なども「高額紙幣の廃止を決定した」ともコメントされており、あたかも、このことが、今後の「世界の趨勢」であるようにも考えられているわけです。しかし、私自身としましては、「マネーの本質」や「通貨制度の歴史」などを無視した「机上の空論」、あるいは、以前に申し上げました「中国やロシアなどの思惑」を考慮していない意見のようにも感じられた次第です。

つまり、次の「グレーヤーズ氏」という「金融専門家」の意見が、より具体的に、世界の実情を表しているようにも感じられましたので、今回は、「債務の奴隷」というコラムを説明させていただきます。ただし、この時の注意点としましては、「バランスシート」には、必ず、「債務(負債)」と「資産」が存在し、「債務の増加」は、結局のところ、「マネーの大膨張」と同義語であるという事実が指摘できるようです。別の言葉では、「資産の増加」には、「恩恵」や「プラスの側面」もあるために、この点も考慮しながら、説明させていただきたいと思います。

過去150年間に、西洋諸国は、「人間の奴隷制」から「債務の奴隷制」に変化した。「人間の奴隷制」については、ほとんどの国で、1800年代から1900年代初頭にかけて、公式に禁止された。「大英帝国」においては「1834年」、そして、「アメリカ」では「1865年」だった。しかし、より巧妙な、かつ、違った形の奴隷制が導入されるまでには、ほとんど時間がかからなかった。それは、「1913年」の「FRBの創設」とともに、公式に始まった。今から100年以上も前、ドイツの銀行家である「Mayer Amschel Rotschild」は、次のようにコメントした。(出典:グレーヤーズ氏)

私に国家の資金をコントロールする権力を与えてくれるなら、誰がその法律を作ろうとも気にしない。(出典:Rotschild氏)