ストックマーケットレポート・サンプル 2017.7.30号
* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。
1:ファンダメンタル
今回は、前回のレポートで紹介した「Alasdair Macleod氏」の「現代金本位制の理論」という「新たな論文」を解説させていただきますが、現在、海外では、「世界の金融システムが崩壊寸前である」という議論が活発に行われています。また、この時に、「代替的な金融システム」として、「金本位制」が、再度、脚光を浴び始めていますが、この点につきましては、私自身も、以前から、同様の考えを持っていましたので、補足説明を加えながら、部分ごとに解説させていただきます。
先週のレポートで、私は、現在の「地政学的状況」を分析し、「新たな金融や銀行システムを構築し、ドルとの縁を切ることが、上海協力機構(SCO)の利益になる」と結論付けた。具体的には、「中国の人民元」や「ロシアのルーブル」を、「金(ゴールド)」とリンクすることにより、「SCOの基本通貨が、ドルの為替レート変動を受けにくくなり、中国とロシアの関係悪化が起きにくくなる状況」が予想されるわけだが、この点に関して、「金本位制という、健全な通貨制度を構築するために、現実面で、どのような問題が存在するのか?」を考えてみたい。(出典:Alasdair Macleod氏)
上記のコメントは、現在の日本で、なかなか理解されにくい点とも言えるようですが、以前から申し上げていますように、現在の「最大の問題点」は「未曽有の規模でのマネー大膨張」とも考えられるわけです。具体的には、「2007年前後に、約8京円の規模にまで膨らんだデリバティブ」、そして、その後に実施された「量的緩和(QE)」などのことですが、「なぜ、このようなことが起こったのか?」につきましては、基本的に、「1971年のニクソンショック」により「金本位制」が廃止され、その後、「不健全な金融システム」に変化した点が、海外で指摘されているわけです。
「健全な金融システム」への回帰については、「金融市場」のみならず、「法律」や「制度」においても、大きな改革が必要とされる。具体的には、現在の「フィアットマネー(政府の信用を基にした通貨)」が中心となった「現在の金融システム」の弱点を認識し、理解することが重要だが、この時に、「1930年代」から始まった「福祉国家における経済学的な基本理念や概念」を破棄することも求められている。そして、このような「革命的な動き」については、通常、「経済、そして、金融面での失敗後」に発生することが多く、その時には、「既存の知識や理論の欠点」が露呈されるとともに、全ての「信用」が失われることになる。(出典:Alasdair Macleod氏)
上記のコメントにつきましても、内容を理解するためには、「歴史」や「金融」に対する「深い認識」が必要とされるようですが、基本的には、「信用創造の仕組み」が理解できると、「現代の通貨が、どれほど脆い基盤の上に成り立っているのか?」が、はっきり認識されるものと考えています。つまり、「現代の通貨」については、ほとんどが、「コンピューターマネー」という「単なる数字」、あるいは、「不換紙幣」という「物質の裏付けが存在しない紙幣」へと変化したわけですが、この理由としましては、主に、「国家」や「経済成長」への「過剰な信用」が存在したからとも想定されるわけです。