ストックマーケットレポート・サンプル 2017.9.10号
* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。
1:ファンダメンタル
「8月25日」に、「ジャクソンホール会議」で「イエレン議長の演説」が行われましたが、この会議につきましては、ご存知のとおりに、「毎年8月後半」に「米国ワイオミング州北西部に位置するジャクソンホール」で「カンザスシティ連邦準備銀行が主催する経済政策シンポジウム」のことになります。そして、世界各国から、「中央銀行総裁・政治家・学者・エコノミスト」が参加するため、「この会議での発言及び合意内容は、金融市場から、たいへん注目されている」とも言われています。
そして、今回の演説を読んだ時に、私自身としましては、一種の「異様な空気」を感じましたが、その理由としましては、「内容が、あまりにも極端すぎるのではないか?」という点が指摘できるようです。つまり、「イエレン議長」が想定する「10年前の状況」は、「私の実感」よりも厳しく説明されていながら、一方で、「現状」につきましては、たいへん楽観的な見方をしているからですが、実際のところは、「ホンネ」が半分、「タテマエ」が半分のようにも感じられた次第です。
「1929年の大恐慌以降」において、最も厳しい金融混乱と実体経済の収縮をもたらした「世界的な金融大混乱(GFC)」から10年経過した。一部の人にとっては、「金融危機が大きな被害をもたらし、その対策として、いろいろな手段が必要だった」という記憶が、すでに、薄らいでいる可能性も存在するようだ。今日は、「10年前の金融危機」を振り返りながら、米国のみならず、世界の国々で、どのような金融政策の変更が行われたのかを議論したい。そして、今までの「金融規制改革」により、「将来の金融危機」に関して、発生の可能性や悪影響を減少できるものと考えている。(出典:安岡正篤 一日一語)
今回も、部分ごとに「翻訳」と「追加説明」をさせていただきますが、基本的には、上記のコメントのとおりに、「10年ほど前の金融大混乱」が「1929年の大恐慌以来の、きわめて大きな危機的状況だった」ということが「イエレン議長の理解」とも言えるようです。そして、その後に実施された、さまざまな「金融規制改革」により、今後は、「混乱が発生しても、影響が少なくなる状況」を想定しているようですが、このことが、今回、私が最も違和感を覚えた点になります。つまり、「BISのカルアナ総支配人」も認めるように、今までの10年間は、単に、「時間稼ぎ」と「問題の先送り」が行われたにすぎないものと思われるからです。
この会議の目的は、「強固な金融システムが、世界経済の成長に必要である」という点を確認することにある。「健全な金融システム」が、「生産的な投資」や「新しいビジネスの形成」、そして、「景気の好不況にかかわらず、既存の企業活動が順調に行われること」にとって重要な要因である。また、家計の「慎重な借金行動」が、「住宅の購入」や「教育への投資」、あるいは、「新たなビジネスの起業」を通して、「人々の生活水準」を向上させる要因である。現在、「金融システムを強化する規制改革」、や、「金融政策の助け」などにより、「信用供与」は順調に行われており、「貸し出し」も、経済成長に伴い増加している。そして、このことが、過去数年間、経済成長に寄与した要因である。(出典:イエレンFRB議長)
上記のコメントにつきましても、「平常時」においては「当然の意見」とも言えるようですが、実際には、前述のとおりに、「10年前に、きわめて激烈な金融危機に見舞われた」、そして、その後は、「非伝統的な金融政策」が実施され、「マイナス金利」までもが発生した状況でもあったわけです。そのために、今回の演説につきましては、「FRBが行ったことは、正しい方法だった」という点を、強く強調したい意図が存在したようにも感じられましたが、実際には、「これからが、本当の金融大混乱期である」というのが、現時点における、私自身の感想でもあるわけです。