ストックマーケットレポート・サンプル 2018.3.20号

* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。

1:ファンダメンタル

この「10日間」につきましては、「オリンピックの熱狂」が覚めるとともに、「厚労省の不適切データ問題」や「森友学園問題」、あるいは、「トランプ大統領の関税引き上げ宣言」や「米朝首脳会談の実現可能性」などにより、金融市場は、一種の「混乱状態」に陥っているようです。つまり、さまざまな問題が複雑に絡み合った結果として、多くの人が、訳が分からない状況となっているようにも感じられますので、今回は、この点に関しまして、論点を整理させていただきます。

具体的に申し上げますと、今回の「鉄やアルミの輸入制限」につきましては、かりに、この「制限」が実施されますと、結果としては、「米国製造業の国際競争力」を失わせるものと思われるわけです。そして、より深刻な問題は、「マネー経済」を弱体化させるとともに、「政府」や「中央銀行」、そして、「通貨制度」や「金融システム」に対する「信頼感」を減少させる可能性も考えられるわけです。別の言葉では、本当の意味での「インフレ(通貨価値の下落)の発生」を想定していますが、現時点では、「株価の下落」だけが懸念され、「金利が上昇した時に、どのようなことが起こるのか?」が、いまだに理解されていない状況とも思われるわけです。

つまり、「1973年」と同様に、「年初に発生したインフレ懸念の台頭」から「6月に実施された米国の穀物禁輸」により、その後、「インフレが加速した状況」が再現されるものと思われるわけです。しかも、今回の「鉄やアルミの輸入制限」につきましては、今後、さまざまな「報復措置」が実施され、その結果として、「世界のインフレ率」を上昇させるものと推測されますので、現時点で必要なことは、前述のとおりに、論点を整理し、丁寧に世界情勢を分析することとも考えられるわけです。

また、「トランプ大統領」の思惑としては、「大統領選挙」の時に成功したように、「ラストベルト(錆び付いた地域)の白人層」に訴え、「今年の中間選挙で勝利する目論見」が存在するようですが、実際には、まったくの逆効果になる状況も考えられるわけです。つまり、「政府」や「通貨」への「信頼感」が失われ、「マネー経済」から「実体経済」へ「資金移動」が加速する可能性があり、結果としては、「トランプ大統領への信頼感」が、より一層、失墜するものと思われるわけです。

このように、現在では、「日米欧の国々」のみならず、世界的に、「国民」と「権力者」との間で「利害の対立」が発生している状況のようにも感じられますが、この点につきましては、現在、「財務省の問題」が、「日本の国会」で議論されていることからも明らかなようです。つまり、実際には、「官僚機構が機能不全の状態となっている可能性」が存在するようですが、この点につきましては、「19世紀」の末に、二度にわたり「米国大統領」に就任した「クリーブランド氏」が主張する「市民には国家を支える義務が存在するが、国家には市民を支える義務は存在しない」というような状況、すなわち、「国民を犠牲にして、一部の権力者が暴走した可能性」も考えられるようです。