ストックマーケットレポート・サンプル 2018.7.10号

* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。

1:ファンダメンタル

今回は、「6月24日」に開催された「BIS(国際決済銀行)の年次総会」につきまして、詳しく説明させていただきますが、「総支配人」につきましては、昨年の「カルアナ氏」から、今年は「カルステンス氏」に交代しました。そのために、「どのような変化が起こるのか?」が、今年の注目点でしたが、「カルステンス氏」が述べた「今年の目標」は、次の四点であり、私自身としましては、「昨年との違いに驚かされた」というのが、偽らざる感想でもありました。

① 過去10年間に達成された成果を確保すること。

② 市場とのコミュニケーションを取りながら、徐々に、かつ、着実に、金融政策の正常化を継続すること。

③ 長期的な観点からの考察を維持しながら、不均衡の積み上がりを制限すること。

④ 世界経済の抵抗力、また、成長力を強化するために、構造改革の推進に関して、さらなる努力を積み上げること。

より詳しく申し上げますと、上記の目標につきましては、単なる「精神論」にすぎず、「具体的な政策」が、ほとんど述べられていないようにも感じられたわけです。つまり、「過去10年間の成果とは、いったい、どのようなものなのか?」、あるいは、「金融政策の正常化を、どのようにして継続するのか?」、また、「不均衡の積み上がりや構造改革の推進は、現在、どのような状況となっているのか?」などが、ほとんど説明されていないために、「これから、どのような政策が実施されるのか?」が理解できないわけです。

しかし、一方で、「本文の内容」につきましては、昨年以上の危機感が感じられましたので、このことは、「カルステンス総支配人」と「実務担当者」との間に存在する「認識の乖離」が原因のようにも思われました。そして、今回、印象に残った言葉は「スナップバック(Snapback)」でもありましたが、このことは、以前に申し上げました「水中のビーチボール」や「ホーキング噴射」と同じ意味のようにも思われました。つまり、直訳しますと「パチンとはじき戻る」、あるいは、「急速に元の状態に戻る」という意味になり、今回は、「金利のスナップバック」に関する説明が多くなっています。

それでは、「第一章」から説明させていただきますが、「題名」は「より強まる経済成長を、どのようにして持続させるのか?」というものであり、実際には、「低インフレ下における世界的な経済成長」について詳しく解説されていました。具体的には、次のグラフのとおりに、「過去1年間、世界経済は、人々の予想以上に成長した」という説明から始まり、その後、「失業率の低下にもかかわらず、低インフレ率が継続した」とも付け加えられています。