ストックマーケットレポート・サンプル 2019.1.20号

* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。

1:ファンダメンタル

この10日間で、最も注目された出来事の一つは、「パウエル議長のコメント」であり、具体的には、「1月4日」に発表された「金融政策を柔軟に見直す」という意見でもあったようです。そして、結果としては、「米国の株価が、約750ドルも急騰した」という展開に繋がったわけですが、この点につきましては、正確に事態を把握する必要性があるようにも感じています。つまり、この間の市場動向を見ますと、「世界的な株安」を受けて、「パウエル議長が、利上げを停止する」とコメントしたわけですが、興味深い点は、「利上げの停止発表」により「国債価格が下落し、株価が上昇した」という事実になります。

より詳しく申し上げますと、「政策金利の引き上げ」は、本来、「国債価格の下落」に繋がるわけですが、今回は、「12月」に実施された「9回目の政策金利の引き上げ」が、反対に、「株安と国債価格の上昇につながった」という状況でもありました。しかも、今回は、下記のチャートのとおりに、「米国を始めとした世界の株価が、12月中に底値を付けた可能性」もありますので、より一層、今回の「パウエル議長のコメント」には、大きな注意を払う必要性があるようにも感じているわけです。

米国のS&P500(日足)

別の言葉では、「今回のコメントは、私が想定する『政策の転換』ではない」ということでもありますが、この点につきましては、若干の補足説明が必要な状況とも言えるようです。つまり、現在では、「市場の誤解」が発生している状況、すなわち、「市場の理解」と「実際の相場」との間に「乖離」が存在しており、その結果として、「景気が好いのか、それとも悪いのか?」が、まったく理解できない状況のようにも思われるわけです。そして、この原因としましては、やはり、「実体経済」と「マネー経済」との「区別」ができないだけではなく、「それぞれの市場に関する正確な分析ができていない状況」が指摘できるようです。

より具体的に申し上げますと、現在では、「今後、景気が悪化した場合に、再度、金利を下げればよい」という理解がなされているようですが、この意見につきましては、過去の推移を無視した、典型的な「三次元の観念論」のようにも感じられるわけです。つまり、「米国の政策金利」につきましては、次のグラフのとおりに、「2015年以降に9回も利上げが実施されながら、歴史的には、依然として低い水準」となっていますが、より重要な問題は、「日米欧の金融政策に、大きな乖離が発生している状況」とも言えるわけです。