ストックマーケットレポート・サンプル 2019.2.28号

* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。

1:ファンダメンタル

現在、「2018年9月前後に、世界の金融市場で、何が起こったのか?」という点に関して、国内外で、いろいろな意見や論評が出ています。具体的には、金融専門家の「ジェラルド・セレンテ氏」が指摘することとして、「2018年9月中に、『経済的な9・11事件』が発生したのではないか?」というものがあり、「この時に証明されたことは、世界の金融システムが、金利上昇に耐え切れなくなっている可能性ではないか?」とも結論付けているわけです。

つまり、昨年末に、「パウエルFRB議長」が態度を大きく変化させ、「政策金利の引き上げ」を断念せざるを得ない状況にまで追い込まれたわけですが、「このことが、『経済的な9・11事件』を証明しているのではないか?」という指摘のことです。また、「2月14日の日経新聞」に掲載された「欧州景気に後退懸念 欧州中銀『利上げ困難』観測 」という題名の記事では、次のグラフのとおりに、「2018年の10月以降、欧州の長期金利が低下傾向にある」、そして、「この理由としては、景気の低迷によるものだ」という点が指摘されています。

欧州の長期金利(日足)

(出典:日経新聞)

具体的には、「景気の低迷」により、世界的な「株価の下落」と「金利の低下」が発生した可能性が述べられていますが、この点につきましては、典型的な「三次元の抽象論、あるいは、観念論」とも言えるようです。別の言葉では、「過去の推移」が、まったく考慮されておらず、単に、「現在の状況」だけを述べた意見とも思われますが、この時に、最も重要なポイントは、「一時的な逆行現象」が理解されていないために、「短期的な観点から、無理矢理に理屈が付けられた可能性」があるようにも感じている次第です。

より詳しく申し上げますと、現在、世界の金融市場で想定されていることは、冒頭で紹介しました「セレンテ氏」が考えているように、「世界中の中央銀行が、再び、量的緩和を始めるのではないか?」、しかも、「規模的には、約250兆ドル(約2.75京円)にまで達するのではないか?」ということでもあるようです。別の言葉では、「出口戦略」が放棄され、「再び、大量の国債発行が実施される可能性」のことですが、私自身としましては、今までに申し上げましたとおりに、「この方法は、すでに、実施不可能な状態になったのではないか?」とも考えています。