ストックマーケットレポート・サンプル 2019.6.10号
* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。
1:ファンダメンタル
今回は、最近、マスコミを賑(にぎ)わせている「MMT(現代貨幣理論)」について、簡単に説明させていただきますが、この議論に関して思い出されたことは、やはり、以前に申し上げた「裸の王様」でもありました。つまり、この物語では、下記の絵のように、「王様が洋服を着ないで、街中を歩いた」という「厳然たる事実」が存在したわけですが、この時になされた説明は、「王様は、目に見えない豪華な洋服を着ている」という「三次元の抽象論」であり、また、「王様自身のみならず、周りの人々も、その説明を信じ込んだ」という状況でもあったわけです。
しかし、「四次元の具体論」では、当然のことながら、「時間の経過とともに、真実に気付く人が現れる」という展開となり、この物語でも、最後には、「王様が騙されていたことに、全員が気付いた」という結論となったわけです。そして、このことを、現在の「世界的な金融情勢」に当てはめますと、「厳然たる事実」は、「世界的な過剰債務」、あるいは、「大膨張したマネーの存在」ですが、問題は、この点に関して、「三次元の抽象論で、いろいろな説明がなされている状況」とも言えるわけです。
具体的には、「5月24日の日経新聞」で「マーティン・ウルフ氏」が述べているように、「過剰債務の破局を、どのようにして防ぐのか?」というものですが、私自身は、この点に関して、今回、「MMT」が、たいへん興味深い役割を果たしたものと感じています。つまり、「日本政府や日銀は、MMT理論が正しいことを実証した」という意見のことですが、確かに、今までは、次のグラフが示すように、「巨額の債務にもかかわらず、インフレが起きなかった」という状況でもあったわけです。