ストックマーケットレポート・サンプル 2019.10.20号
* サンプルとして、冒頭の約1ページ分を掲載しております。
1:ファンダメンタル
今回は、「地球温暖化」に関して、「世界が、どのように認識しているのか?」を考えてみたいと思います。具体的には、「9月23日」に行われた「グレタさんの国連演説」から重要な部分を抜粋しながら、解説を加えることになりますが、この時の注意点としては、「1997年の京都議定書」の段階で、「環境問題における世界の先進国」と思われていた「日本」が、「なぜ、現在では、世界の後進国と認識されるようになったのか?」を考えることでもあるようです。
つまり、「1997年」から「現在」までの状況を振り返りながら、「世界の環境は、なぜ、これほどまでに酷い状態に陥ったのか?」、そして、「これから、どのような状況が想定されるのか?」を考えることになります。別の言葉では、「過去20年余りの情勢」から類推して、「歴史の法則」を考えることでもありますが、私自身は、「明治維新以降、日本が世界に与えた影響は、きわめて大きなものだった」とも感じており、この点も踏まえながら、「グレタさんの演説」を紹介させていただきます。
人々は苦しんでいます。人々は死んでいます。生態系は崩壊しつつあります。私たちは、大量絶滅の始まりにいるのです。なのに、あなた方が話すことは、お金のことや、永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり。よく、そんなことが言えますね。30年以上にわたり、科学が示す事実は極めて明確でした。なのに、あなた方は、事実から目を背け続け、必要な政策や解決策が見えてすらいないのに、この場所に来て「十分にやってきた」と言えるのでしょうか。(出典:グレタさんの国連演説から一部を抜粋)
上記のコメントのとおりに、今回の「国連演説」は、きわめて辛辣な内容となっていますが、この点につきましては、以前に申し上げました「人新世」という「人類が、農業や産業革命を通じて、地球規模の環境変化をもたらした時代」が、大きな意味を持っているものと考えています。つまり、現在では、「自然災害による被害額」が、きわめて大きな金額となっており、このまま環境悪化が続くと、間もなく、「被害額」が「経済成長から得られる利益」を上回る可能性も考えられるわけです。
今後10年間で(温室効果ガスの)排出量を半分にしようという、一般的な考え方があります。しかし、それによって世界の気温上昇を1.5度以内に抑えられる可能性は50%しかありません。人間のコントロールを超えた、決して後戻りのできない連鎖反応が始まるリスクがあります。50%という数字は、あなた方にとっては受け入れられるものなのかもしれません。しかし、この数字は、(気候変動が急激に進む転換点を意味する)「ティッピング・ポイント」や、変化が変化を呼ぶ相乗効果、有毒な大気汚染に隠されたさらなる温暖化、そして公平性や「気候正義」という側面が含まれていません。この数字は、私たちの世代が、何千億トンもの二酸化炭素を今は存在すらしない技術で吸収することをあてにしているのです。(出典:グレタさんの国連演説から一部を抜粋)